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リレーショナル・データベースとはテーブルを扱うデータベースだという説明をした
が、なぜ、そうしたデータベースに、「リレーショナル」という名前がついているのか
まだ、説明していなかった。ここで、その訳を簡単に説明しようと思う。もっとも、名
前のいわれに興味の無い人や、数式が嫌いな人は、この節を読み飛ばして構わない。
数学的には、「関係(relation)」というのは、n個の集合S1,S2,..,Snの直積の部分集 合である。 関係が集合であるというのは、例えば、実数上の「xはyより大きい」という関係 rel-GT は、x >= y なるすべての実数の組からなる集合 GT と次のように同一視できる からである。
x rel-GT y <==> < x,y > ∈ GT ただし、x,yは実数
この例でもわかるように、数学上の「関係」の多くは、無限集合である。しかし、定義
域を有限集合に限れば、有限集合で関係を表現することができる。以下、そうした例を
見てみよう。
今、6以下の自然数を、Dice と表すことにしよう。このとき、Dice上の関係「xはyより 大きい」GTinDiceは、次の15の要素からなる集合である。
GTinDice = { <6,5>,<6,4>,<6,3>,<6,2>,<6,1>, <5,4>,<5,3>,<5,2>,<5,1>, <4,3>,<4,2>,<4,1>, <3,2>,<3,1>, <2,1> }
同じくDice上の関係「x,y,zは、大きさの順に並んでいる」S3inDiceは、次の集合であ る。
S3inDice = { <1,2,3>,<1,2,4>,<1,2,5>,<1,2,6>, <1,3,4>,<1,3,5>,<1,3,6>, <1,4,5>,<1,4,6>, <1,5,6>, <2,3,4>,<2,3,5>,<2,3,6>, <2,4,5>,<2,4,6>, <2,5,6>, <3,4,5>,<3,4,6>, <3,5,6>, <4,5,6> }
ここで重要なことは、これらの集合としての関係が、いくつかの要素の組(tuple)の集
まりとして出来ていることである。GTinDiceでは、<6,5>,<6,4>といった2つの数字の
組が、S3inDiceでは、<1,2,3>,...,<4,5,6>といった3つの数字の組が、これらの集合を
構成している。