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理論的な考察

上で見てきたことを、今度は、少し形式的に扱ってみよう。

(定義 多値従属) 関係 R(A,B,C)において、「R.Aは、R.Bの複数の値を一意に決定する」とは、 Aの値を一つ選べば、それに対応する複数のBの値の集合が、Aの値のみに従って、Cとは 独立に、一意に定まることと定義する。この時、

R.A --->> R.B

と表記する。

明かに、「R.Aは、R.Bの複数の値を一意に決定する」ことは、「R.Aは、R.Bの値を一意 に決定する」を含むから、次の関係が成り立つ。

R.A --->> R.B  ならば R.A ---> R.B

もし、R.A --->> R.B が成り立てば、定義から、BとCとは独立に値を取ることになる。 Cがこの関係Rの中で、ある値 c を取るとしよう。もし、この c が、特定のBの値に対 応して行中に現れるとすれば、BとCは独立という条件に反することになる。BとCが独立 という条件は、強い意味では、全てのBの値に対して、Cの特定の値 c が組をつくりう ることを意味する。こうしてCが取りうる値の集合は、やはり、Aによって一意に決定さ れていると解釈できる。

こうしたことから、次のことが分かる。

関係R(A,B,C)において、R.A --->> R.B が成り立てば、同時に、R.A --->> R.C が 成り立つ。こうした関係を、次のように表すことがある。

R.A --->> R.B | R.C

関係 A --->> B | C の正規化理論における重要な意味は、Faginの次の定理が示してい る。

(定理)
 関係R(A,B,C)が、情報を保ったまま2つの関係R1(A,B)とR2(A,C)に分割されるための
 必要十分条件は、A --->> B | C が成り立つことである。

maruyama@wakhok.ac.jp
1995年02月10日 (金) 00時49分16秒 JST