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本書でのSQLの扱い方の特徴

 SQLへの入門書である本書の前半部は、次のような特徴を持っている。

第一。本書で扱われているSQLは、正確にANSIの規格に準拠したものではない。しかし、 上で名前をあげた、UNIX上の代表的なSQL処理系では、問題なく動くはずである。逆に いうと、各処理系で異なる部分は、最大限記述から省いてある。ANSIの規格でも、実際 の処理系でインプリメントされてない部分は、省かれている。

第二。本書では、テーブル名、項目名等に、基本的には日本語を用いた。これは、入門 書としての例題の読み易さに加えて、日本語が使えなくては、ビジネス・ユースでは、 使いものにならないと筆者が考えているからである。各処理系やOSの違いによって、日 本語の扱いは実際には差があり、効率の問題もあるが、我々が必要としているのは、日 本語が使えるSQLなのである。

第三。本書の叙述の順序は、基本的には、権限の弱いユーザーに許されている操作か ら、だんだん強い権限を必要とする操作へというものである。
一般のユーザーが、アクセスの許されたテーブルの項目をselectするとき、当然、それ に先だって、誰かがこのテーブルを作成し、かつ、一般のユーザーにそのアクセスを許 すという操作を行っていなければならない。そういう意味では、本書の叙述は、権限の 強いユーザーがデータベースを準備するという、現実の時間的順序とは逆行している。 しかし、はじめてデータベースに近づく人に、データベースをつくるためには、まずそ れが必要だという理由で、ディスクのイニシャライズから講義を始める必要があるのだ ろうか? selectをするには、テーブルがなければならないからといって、selectの前 に、SQLのデータ定義の部分を終了しなければならないのだろうか? 筆者のとった立 場は、そうした考えとは反対である。

maruyama@wakhok.ac.jp
1995年02月10日 (金) 00時49分16秒 JST