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3.1 ネットワークの基本的な設計

コンピュータ・ネットワークの基本的な成り立ちは、異なったホスト・コンピュータ のプロセスの間で(それらのコンピュータが例えばケーブルで物理的に接続されて いるならば)データのやり取りを行なうことです。このような意味では、 コンピュータ・ネットワークは、電気信号や光信号の 授受というレベルから、具体的なレベルでは特定のサービスの要求・提供の 手続きまでさまざまの問題が絡み合っています。 それを、一つ一つのアプリケーションごとに一まとめで考えると融通性の悪いものに なります。そこで、コンピュータ・ネットワークの実現を幾つかの層(レイヤ) に分けて整理することが考え出されました。

こうした「レイヤリング」(層化)のモデルの中で、最も有名なものは、 OSI7階層モデルです。

7 Application
6 Presentation
5 Session
4 Transport
3 Network
2 Data Link
1 Physical

Fig. 1 OSI 7-階層モデル

プロトコルは、たとえ異なったOSの走る異なったマシン同士でも、 相互に情報の交換が出来るように、共通の通信手順を定めたものですが、 レイヤリングを行なうことによって、 対等な層の間には、その層独自のプロトコルを成立させ、ある層の変更が 他の層に影響しないようにすることができるようになりました。 例えば、socket でプログラミングして TCP と IP を使って通信する場合、 アプリケーションの変更はTransport層よりも下に伝播することはありません。 物理的なケーブルを違う規格のものに置き換える場合、変更は通常Physical層の なかだけですみます。

こうして、各層の独立性を相対的に保ちながら、各の対等な層の間でプロトコルを 成立させて通信するのが、コンピュータ・ネットワークの仕組みになっています。



Noriyo Kanayama