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1.2 スーパユーザ

UNIXは、そのような一般ユーザの他に、システムを管理するユーザがいます。そのユーザのことを、スーパーユーザと言い、そのユーザ名は一般的に root (ルート)と言います。
 スーパーユーザは、システム管理の絶対的な権限を持っています。たとえば、一般ユーザの登録削除の他、全てのファイルを読んだり、消したりする事ができます。ですから、一般ユーザのファイルも、見ることができます。これは、一般のユーザから見れば、暗号化されていないファイルは、全てスーパーユーザに読まれる可能性があることを示していますし、また、スーパーユーザは、善良な管理者としてのモラルを持って、個人のプライバシーを保護するなど、倫理的な面も考慮して行動する必要があります。

 さて、今回の講座では、皆さんに、スーパーユーザとして実習を行ってもらいます。そのためのユーザ名を root2 とします。パスワードは、別途連絡します。
 実習は1人1台のマシンを使って行います。
 これから、数日の間、そのマシンに責任を持って実習を行ってください。とはいえ、未経験の方が演習するのですから、不測の事態が起こることはあり得ます。万一、マシンが動かなくなってしまっても、再インストールをしてやり直すことはできますから、それほど怖がらなくて結構です。

 UNIXシステムは、通常、24時間運転しています。(中には時間を決めて運用しているところもあるでしょう。)ですから、通常、コンピュータの電源は入っていますので、UNIXシステムの使用を開始するには、ディスプレイの電源を入れ、表示されているプロンプトに従って、ユーザ名とパスワードを入力します。

      Login: root2
      Password:

ここで、パスワードの部分は、入力しても何も表示されません。*等も表示されないので、何文字入れたか、わかりにくいのですが、慎重に一文字ずつ入力してください。
 もし、間違えたときは、しばらくして、再度、Login: が表示されますので、もう一度入力してください。
 しばらくすると、若干のメッセージが表示され、システムが立ち上がります。
 ここで、コマンドを入力し、作業を行うことができます。

 使用を終了するには、次の2つの場合があります。
 
 ウインドウが立ち上がっているとき。   マウスの左クリックで「終了」を選択。
 ウインドウが立ち上がっていないとき。  プロンプトに対して、" logout " または、CTRL+D (コントロールD)を入力する。
 
 ここで、UNIXというOSの働きについて、簡単に説明しておきましょう。
 OSとは、人間の命令を受け付け、それに従ってコンピュータという機械の各所を動作させ、出された結果を、人間に分かる形で表示する仕事をするものです。
 UNIXの設計思想の基本は、シンプルさ、です。昨今のウインドウシステムのような、カラフルな表示や、マウスで、右から左へ動かすことで仕事ができる、というものではなく、コマンドを入力すると、結果を返す、ということの繰り返しで、作業を進めていきます。もっとも、最近は、UNIXでも、ウインドウシステムが当たり前になりましたし、ほとんどの作業が、マウスでできるようにしたものもありますが、UNIX開発当時のコンピュータは、今に比べるとはるかに能力の低いもので、ウインドウ操作を容易にできるようなものではありませんでした。シンプルなコマンドで、軽快に動くことが、求められた結果、コマンドラインからの入力と単純な出力、という形態になったもので、この思想の基本は、現在にも引き継がれています。
 
 特に、スーパーユーザは、ウインドウ環境も何も無い状態で作業しなければならない場合も多く、コマンドの使用法に精通している必要があります。本講座は、入門レベルのUNIXコマンドを理解していることが期待されていますが、Windowsしか使ったことの無い人も困らないように、一応の配慮はしています。しかし、フォローが十分でなく、分からないコマンドもあるかもしれませんので、その際はマニュアルなどで調べてください。


Noriyo Kanayama