NISの設定が終わってLANが完成すると次はいよいよ他のサイトのネットワークとの
接続(=インターネットワーキング)が課題となってくる。その際まず取り組まねば
ならないのがLAN間のroutingであるが、ここではその作業が完了しているとして
次の課題であるDNS(Domain Name Service)の導入の話題に入る。
実際にはroutingが完了すればIP addressさえ知っていれば世界中と通信はできる。 何故ならば、相手のホスト名をhostsファイルに書いてからNISに登録してしまえば そのホストとの間では不自由なくやりとり出来るであろう。しかし、世界中の ホスト名を登録するには膨大なディスク資源がいることになるし、常時、更新情報を 世界中から仕入れては更新作業をしなければならなくなる。
そこで考案されたネットワーク分散型のネームサービスがDNSでdomainと呼ぶ 名前空間を持つ。この空間はツリー構造を持ち、例えば
lxa1.summer1.wakhok.ac.jp.
はUNIX流に書くと/jp/ac/wakhok/summer1/lxa1に相当する。
wakhok.ac.jp.が本学のドメイン名でsummer1がそのサブドメイン、lxa1は
それに属するホスト名である。
各ドメインはそれを管理するネームサーバーを持ち、そのサーバーは自分の管理する
ドメインについての情報と他のネームサーバーへのポインタを持つ。そのサーバー
の管理するドメインをゾーンと呼び、そのサーバーはゾーンに対して「権限
(Authority)を持つ」という。
少し模式的になるが、例えばlxa1というクライアントがwww.sun.com. という ホストを探す過程を見てみよう。
このDNSを実装したものがBIND(Berkeley Internet Name Domain)であり
その名の通り当初はカリフォルニア大バークレー校で開発されていたが、
現在ではISC(Internet Software Consortium)で改良が進められている。
bindはDNSサーバーとサーバーにアクセスするためのライブラリやツールで構成
されているパッケージの名称である。
さてDNSのサービスを実現するためには
大抵のUNIX OSでは、はじめからbindが組み込まれているので、 [手順2]からスタートする事が出来るが、 新しく拡張されたbindの機能を利用したい場合や,インストールされているbindの バージョンにsecurity holeが見つかっている場合は最新バージョンのものに入れ換える 必要がある。
本講座のOSであるSolaris2.5にはVersion4.8.3ベースのbindがもともとインストール されているが、 本講座では現時点(1998/08/01)での最新バージョンであるbind-8.1.2を使用する予定である。新しいbindでは最近のインターネットの事情に対応して、アクセスコントロールやデータベースのダイナミック・アップデイト機能、Notify(レーブサーバへの更新通知))機能、ロギング機能の強化、トポロジー概念の導入などが計られている。
新しいbindは
http://www.isc.org/bind.html
や国内のmirror site から入手できる。本講座では進行上[手順1]のインストールが 済んだものとして[手順2,3]に重点をおいて講座を進める。 新しいバージョンのbindの設定書式を学ぶが、本講座の目標がDNSの基本設定が自力で 出来るようになる事に置いているので、新しく拡張された機能はdefaultで設定せずに済むのでここでは触れない。詳しく知るにはISCのページを参照するか、
http://www.imasy.or.jp/ yoriyuki/BIND/
でBIND Configurationの和訳が進められているので参照されたい。
また、bind-8.1.2ではコマンドの名前やディレクトリがdefaultではSolarisのものと
若干異なっているものがあるので注意されたい。
[手順4]は実際には[手順1-3]と並行して進める事が出来る。 日本のドメインを管理しているJPNIC(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
http://www.nic.ad.jp/index-j.html
にはドメイン名、IP address、ネームサーバーの登録が必要である。