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5.1 DNSとは?

NISの設定が終わってLANが完成すると次はいよいよ他のサイトのネットワークとの 接続(=インターネットワーキング)が課題となってくる。その際まず取り組まねば ならないのがLAN間のroutingであるが、ここではその作業が完了しているとして 次の課題であるDNS(Domain Name Service)の導入の話題に入る。

実際にはroutingが完了すればIP addressさえ知っていれば世界中と通信はできる。 何故ならば、相手のホスト名をhostsファイルに書いてからNISに登録してしまえば そのホストとの間では不自由なくやりとり出来るであろう。しかし、世界中の ホスト名を登録するには膨大なディスク資源がいることになるし、常時、更新情報を 世界中から仕入れては更新作業をしなければならなくなる。

そこで考案されたネットワーク分散型のネームサービスがDNSでdomainと呼ぶ 名前空間を持つ。この空間はツリー構造を持ち、例えば

lxa1.summer1.wakhok.ac.jp.

はUNIX流に書くと/jp/ac/wakhok/summer1/lxa1に相当する。
wakhok.ac.jp.が本学のドメイン名でsummer1がそのサブドメイン、lxa1は それに属するホスト名である。
各ドメインはそれを管理するネームサーバーを持ち、そのサーバーは自分の管理する ドメインについての情報と他のネームサーバーへのポインタを持つ。そのサーバー の管理するドメインをゾーンと呼び、そのサーバーはゾーンに対して「権限 (Authority)を持つ」という。

少し模式的になるが、例えばlxa1というクライアントがwww.sun.com. という ホストを探す過程を見てみよう。

1.
まずlxa1が自分のドメインネームサーバー(仮にhoku1とする)に問い合わせる。 hoku1がwww.sun.com.の情報を持っていないときは,hoku1はルートドメイン(.)の サーバーに問い合わせる。
2.
ルートドメイン(.)のサーバーがwww.sun.com.の情報を持っていないときは com.ドメインのサーバーの情報をhoku1に返す。
3.
hoku1はcom.ドメインのサーバーに問い合わせる。www.sun.com.の完全な 情報を持っていなくても sun.com. ドメインのサーバーの情報が返ってくる。
4.
sun.com. ドメインのサーバーに問い合わせるとwww.sun.com.のIP addressが 返ってくる。
これらの問い合わせで得た情報はhoku1にキャッシュされるので、以降の問い合わせ の効率が上がる。

このDNSを実装したものがBIND(Berkeley Internet Name Domain)であり その名の通り当初はカリフォルニア大バークレー校で開発されていたが、 現在ではISC(Internet Software Consortium)で改良が進められている。 bindはDNSサーバーとサーバーにアクセスするためのライブラリやツールで構成 されているパッケージの名称である。

さてDNSのサービスを実現するためには

1.
bind のソースの入手、コンパイル、インストール
2.
DNSサーバーの設定
3.
クライアント(リゾルバ)の設定
4.
JPNICへの登録
という手順を踏む。

大抵のUNIX OSでは、はじめからbindが組み込まれているので、 [手順2]からスタートする事が出来るが、 新しく拡張されたbindの機能を利用したい場合や,インストールされているbindの バージョンにsecurity holeが見つかっている場合は最新バージョンのものに入れ換える 必要がある。

本講座のOSであるSolaris2.5にはVersion4.8.3ベースのbindがもともとインストール されているが、 本講座では現時点(1998/08/01)での最新バージョンであるbind-8.1.2を使用する予定である。新しいbindでは最近のインターネットの事情に対応して、アクセスコントロールやデータベースのダイナミック・アップデイト機能、Notify(レーブサーバへの更新通知))機能、ロギング機能の強化、トポロジー概念の導入などが計られている。

新しいbindは

http://www.isc.org/bind.html

や国内のmirror site から入手できる。本講座では進行上[手順1]のインストールが 済んだものとして[手順2,3]に重点をおいて講座を進める。 新しいバージョンのbindの設定書式を学ぶが、本講座の目標がDNSの基本設定が自力で 出来るようになる事に置いているので、新しく拡張された機能はdefaultで設定せずに済むのでここでは触れない。詳しく知るにはISCのページを参照するか、

http://www.imasy.or.jp/ yoriyuki/BIND/

でBIND Configurationの和訳が進められているので参照されたい。

また、bind-8.1.2ではコマンドの名前やディレクトリがdefaultではSolarisのものと 若干異なっているものがあるので注意されたい。

[手順4]は実際には[手順1-3]と並行して進める事が出来る。 日本のドメインを管理しているJPNIC(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)

http://www.nic.ad.jp/index-j.html

にはドメイン名、IP address、ネームサーバーの登録が必要である。



Noriyo Kanayama