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JSPの基本

JSP の仕組み

Webアプリケーションでは、ユーザからの入力があると、その入力に応じたページを「動的に」作成しなければいけません。

Javaを使ったWebアプリケーションでは、Webブラウザからのリクエストを処理して動的なページを作成するため、ServletとJSPを使います。ServletとJSPは、「Webコンテナ」と呼ばれる環境の中で動作します。

JavaServer Pages (JSP)は、HTMLのソースに、特殊なタグとJavaプログラムを埋め込んだものです。JSPは、Webコンテナの内部でServlet (Javaプログラム)に変換されます。

*unresolved*がJSPのサンプルです。先頭に<%@と%>というタグがあります。また、<%と%>のタグに囲まれた部分と、<%=と%>に囲まれた部分にJavaのコードが埋め込まれています。

loop.jsp
<%@ page pageEncoding="Shift_JIS"
              contentType="text/html; charset=Shift_JIS" %>
<html>
<head>
<title>JSP: for 文を使ったサンプル</title>
</head>
<body>

<%
    for (int i = 1; i <= 5; i++) {
%>
        <p>サンプル<%= i %></p>
<%
    }
%>
</body>
</html>

<%と%>の間に、for文の一部が挟まれています。そして、for文のコードは途中で途切れ、HTMLタグが書かれています。もっとも、よく見ると<%= i %>のようにJavaプログラムの断片が埋め込まれています。その後に、<% } %>という部分があります。これは、先のfor文の始まりとなる中括弧"{"に対応した、閉じの中括弧"}"なのです。この例では、for文の条件に従って、

        <p>サンプル<%= i %></p>

の部分を繰り返し出力することになります。

<%= Javaの式%>の形は、式の取る値にtoString()メソッドを適用して得られる文字列に置き換わります。ここでの<%= i %>では、for文の変数iが1から5までの値になるので、それぞれ"1", "2", "3", "4", "5"という文字列に置き換わります。

このJSPページをloop.jspという名前で保存し、TomcatなどのWebコンテナに置いておきます。WebブラウザからこのJSPページにアクセスがあると、WebコンテナはJSPページに埋め込まれたコードを処理して、HTMLを生成します。この例では、次のようなHTMLが生成されます。

<html>
<head>
<title>JSP: for 文を使ったサンプル</title>
</head>
<body>

<p>サンプル1</p>

<p>サンプル2</p>

<p>サンプル3</p>

<p>サンプル4</p>

<p>サンプル5</p>

</body>
</html>

ブラウザでは、次のように表示されます。

出力例:

サンプル1
サンプル2
サンプル3
サンプル4
サンプル5

JSP の要素

JSPで使われる要素について説明しましょう。

ディレクティブ

JSPページ全体に関わることについて定義します。

構文:

   <%@ ディレクティブ名 属性とその値 %>

例:

<%@ page pageEncoding="Shift_JIS"
         contentType="text/html; charset=Shift_JIS" %>
<%@ page import="java.util.Date" %>
<%@ page import="java.text.DateFormat" %>

この例の1行目で、JSPページそのもののエンコーディングを指定しています。この例では、Shift_JISにしています。2行目で、生成されるページがHTMLであり、文字コードがShift_JISであることを指定しています。さらに、3行目と4行目で、java.util.Dateとjava.text.DateFormatの2つのクラスをインポートしています。

宣言

変数を宣言します。変換された後のServletでは、クラス中のフィールドとなります。

構文:

   <%! 宣言 %>

例:

   <%! int i = 0; %>
   <%! int a, b, c; %>
   <%! Circle c = new Circle(2.0); %>

最後のセミコロンを忘れないようにしましょう。

式を記述します。<%= Javaの式%>の形は、式が返す値にtoString()メソッドを適用して得られる文字列に置き換わります。セミコロンは付けません。

構文:

   <%= Javaの式 %>

例:

いまは
<br />
<%= df.format(d) %>
<br />です。

スクリプトレット

プログラムを記述します。

構文:

   <% プログラム %>

例:

   <%
     String name = null;
     if (request.getParameter("name") == null) {
   %>
   	     <p>not found!</p>
   <%
     } else {
         foo.setName(request.getParameter("name"));
     }
   %>

サンプルプログラム

現在の日時を表示する例です。

date.jsp
<%@ page pageEncoding="Shift_JIS"
         contentType="text/html; charset=Shift_JIS" %>
<%@ page import="java.util.Date" %>
<%@ page import="java.text.DateFormat" %>
<html>
<head>
<title>JSP: 現在の日時を示すサンプル</title>
</head>
<body>

<%
    Date d = new Date();
    DateFormat df = DateFormat.getDateTimeInstance();
%>

<p>
いまは
<br />
<%= df.format(d) %>
<br />です。
</p>

</body>
</html> 

スクリプトレットの中でDateFormat型のdfというインスタンスを作っています。次の部分で、df.format()メソッドを実行することによって、現在の日時を表示しています。

<%= df.format(d) %>

Tomcat で JSP を動かす

Tomcat

JSPやServletを動かすには「Webコンテナ」が必要になります。

Tomcatは、Jakarta Project (http://jakarta.apache.org/)が開発しているWebコンテナです。Javaで書かれています。Jakarta Projectは、オープンソースのJavaプログラムをたくさん開発している団体です。そのため、Tomcatもオープンソースになっており、活発に開発が続けられています。

TomcatはApacheなどの既存のWebサーバに組み込んで使えるほか、Tomcat単独でもWebサーバとして使えます。

Tomcat のインストール

TomcatはJavaで動いているので、まずJ2SEがインストールされている必要があります。環境変数JAVA_HOMEがセットされているかどうかチェックしてください。もしセットされていなければ、J2SEがインストールされているフォルダを指定します。

次に、Tomcatをインストールします。

インストールが終わったら、CATALINA_HOMEという環境変数を設定します。この環境変数の値は、Tomcatをインストールしたフォルダの絶対パス名になります。

JSP を動かすためのファイル構成

ServletやJSPなどは、Webコンテナの内部で動きます。そのため、Tomcatの内部にServletやJSPを置く必要があります。

JSPページをTomcat上で動かすには、次のようにします。

まず、%CATALINA_HOME%/webappsフォルダの中に新たなフォルダを作成します。このフォルダの中にServletやJSPなどで構成されるWebアプリケーションが置かれます。ここでは、testという名前のフォルダを作成します。

JSPページは、testフォルダの中に配置します。

testフォルダ以下は、.warという拡張子を持つファイルにまとめることもできます。このファイルを「warファイル」と言います。warファイルは、jarファイルと同じフォーマットのファイルです。

testフォルダにloop.jspを追加したときのファイル構成は、次のようになります。

%CATALINA_HOME% -- webapps/ -- test/
                                 |
                                 |-- loop.jsp

WEB-INF フォルダと web.xml

さらに、testフォルダの中に、WEB-INFというフォルダを作ります。

WEB-INF/classesフォルダには、Webアプリケーションが直接利用するファイルが入ります。コンパイルしたServletのクラスファイルはこのフォルダに格納します。

WEB-INF/libフォルダには、Webアプリケーションが利用するライブラリが入ります。

WEB-INF/web.xmlファイルは、Webアプリケーションの設定を記述するDeployment Descriptor (DD)ファイルです。XMLで記述されています。Servletを使うときには、このファイルにServletの情報を記述する必要があります。JSPの場合は、情報を記述する必要はありませんが、このファイルそのものが無ければ動作しません。

web.xml
<?xml version='1.0' encoding='UTF-8'?>
<web-app xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/j2ee"
    xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
    xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/j2ee web-app_2_4.xsd"
    version="2.4">

  <display-name>JSP_Samples</display-name>
  <description>
     JSP Samples
  </description>

</web-app>

最終的なファイル構成は次のようになります。これで、JSPを動かす準備が整いました。

%CATALINA_HOME% -- webapps/ -- test/
                                 |
                                 |-- WEB-INF/ --- web.xml
                                 |             |- classes/
                                 |             |- lib/
                                 |-- loop.jsp

JSP へのアクセス

まず、Tomcatを起動します。

Tomcatがlocalhost上の8080番ポートで動いているとします。

loop.jspには次のURLでアクセスします。

  http://localhost:8080/test/loop.jsp

参考文献・URL

Apache Tomcat