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13.4 問題点

ISC DHCP に限らないのですが、現在の DHCP の多くはそれほど低レベルから プログラムされているわけではありません。従って、ベンダー提供のものと 違い、データリンク層での問題を抱える場合があります。ISC のマニュアルにも 記述されていますが、一部の SystemV 系の OS は、all 1 (255.255.255.255)の ブロードキャストを出すことが出来ないようになっています。実際、筆者が経験 した中では、NEC EWS の Unix は 255.255.255.255 に出そうとしても インターフェースのサブネット部に合わせて 202.11.x.255 のブロードキャスト に自動的にパケットを変更してしまいました。こうなると、クライアントは このブロードキャストを捕捉出来ません。

今一つの問題は、名前の整合性の問題です。DHCP で、動的に IP を貸し出した 場合には、MAC アドレスを指定して IP を貸し出さない限り、名前と IP の 整合性が取れない事がありえます。現状では、整合性をとる必要がある場合に は、MAC アドレスを指定して IP を発行するしかありません。そうすると、 いちいち MAC アドレスを調べなければならない事になり、これはこれで面倒 です。

更に、セキュリティ上の問題が生じます。ここまで来ると、IP を貸し出すための 認証システムが必要という話になり、段々問題が大きくなってくるのですが、 ISC のホームページなどを見ると、この問題についても考えているようです。 現状では、どこかのクローズドネットで MAC アドレスを調べ、その MAC アドレス に対して IP を貸与するようなやり方でしか解決出来ないでしょう。

最後に、ISC 版の DHCP の制限なのですが、Solaris で、 複数のインターフェースがブロードキャストインターフェースとして定義され ていると、うまく動かない旨が報告されています。注意して下さい。



Noriyo Kanayama