ISC DHCP に限らないのですが、現在の DHCP の多くはそれほど低レベルから プログラムされているわけではありません。従って、ベンダー提供のものと 違い、データリンク層での問題を抱える場合があります。ISC のマニュアルにも 記述されていますが、一部の SystemV 系の OS は、all 1 (255.255.255.255)の ブロードキャストを出すことが出来ないようになっています。実際、筆者が経験 した中では、NEC EWS の Unix は 255.255.255.255 に出そうとしても インターフェースのサブネット部に合わせて 202.11.x.255 のブロードキャスト に自動的にパケットを変更してしまいました。こうなると、クライアントは このブロードキャストを捕捉出来ません。
今一つの問題は、名前の整合性の問題です。DHCP で、動的に IP を貸し出した 場合には、MAC アドレスを指定して IP を貸し出さない限り、名前と IP の 整合性が取れない事がありえます。現状では、整合性をとる必要がある場合に は、MAC アドレスを指定して IP を発行するしかありません。そうすると、 いちいち MAC アドレスを調べなければならない事になり、これはこれで面倒 です。
更に、セキュリティ上の問題が生じます。ここまで来ると、IP を貸し出すための 認証システムが必要という話になり、段々問題が大きくなってくるのですが、 ISC のホームページなどを見ると、この問題についても考えているようです。 現状では、どこかのクローズドネットで MAC アドレスを調べ、その MAC アドレス に対して IP を貸与するようなやり方でしか解決出来ないでしょう。
最後に、ISC 版の DHCP の制限なのですが、Solaris で、 複数のインターフェースがブロードキャストインターフェースとして定義され ていると、うまく動かない旨が報告されています。注意して下さい。