next up previous contents
Next: 2.5.1 静的ルーティング Up: 2. TCP/IP ネットワークとその管理 Previous: 2.4.2.1 サブネット

2.5 ルーティング

マシン同士が TCP/IP を用いて通信をする場合にネットワークへの接続状態に応じた 手続きが必要です。

同じネットワークセグメントに属する場合

同じクラス、又は同じサブネットに属すると IP アドレスから判断出来る場合、 発信側はネットワークに ブロードキャストを流し、受信側の イーサネット・アドレスを聞きます。 受信側は同じセグメント に属するのですから、そのブロードキャストを受け取ることが出来、受け取ると発信側 に対して自分の MAC アドレスを報告します(このプロトコルを ARP と言います)。 送信側はこれをテーブルに覚えておいて、次からの転送に使用します。この テーブルは、/usr/sbin/arp コマンドによって参照することができます。 以上のようにして、発信側は受信宛へのパケットを送信する事ができる訳です。

一方、ARP の逆に、イーサネット・アドレスから IP アドレスを参照するプロトコル を RARP と言いますが、これは既に述べたように通信そのものには使われません。

違うネットワークセグメントに属する場合

違うセグメント同士のマシン間の通信では、どういう経路を通るかという情報が必要 です。この経路情報の事をルーティング情報と言い、この情報に基づいて経路選択を する事をルーティングと言います。ルーティングには、あらかじめマシンの設定 ファイルに経路情報を設定する静的ルーティングと、動的にルーティングの情報を流す 方法などがあります。いずれの場合でも、相手先の MAC アドレスは取得出来ないので、 代わりにその経路を知っているルータ(ルーティングが出来る機器の事をルータと 言います。従って、専用機器である場合もありますし、通常のワークステーションで ある場合もあります。)を経路情報から取り出し、そのMAC アドレスに向かってパケットを流します。パケットを受け取ったルーターは自身の持つ経路情報に従って、更に次のルーターへ パケットを送り出したり、受信先がルーターから直接到達可能な場合は直接受信先へと パケットを送ります。ここで重要な事は、幾つかのルーターを経ないと到達できないよ うな場合でも発信先はその経路全てをあらかじめ知っている必要はない点です。 それぞれのルーターは、自身が直接到達出来るネットワークへのルーティング情報を 持っていれば良いだけなのです。 勿論、こうした TCP/IP でのルーティングは最短経路を通る 事は保証されていません。また、復路において同じ経路を通るとも限りません。



 

Noriyo Kanayama