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7. POP, IMAP4 の導入

先の章で紹介したように、POP は非常に普及していますが、 実は大きな問題があります。それは、多くのユーザー がどのマシンでメイルを受け取るか分からないような環境の場合です。つまり、 教育機関や企業など色々なマシンがあり、どのマシン上でも同じようにメイルを 読み書きするには問題があるのです。この問題は、1つにはメイルをローカルに 受け取るという POP の仕様上の点と、今一つはローカルメーラのメイルの保存の 仕方に統一した規格がない点に起因します。勿論、ネットワーク上にメイルを保存 すれば、どこででも見ることは出来ますが、それでも第二の問題点があるために ローカルメールソフトは統一しなければなりません。この場合、EUC なのか JIS なの か、あるいは SJIS なのかというプラットフォームにも関連してきます。このような 問題を一挙に解決する規格が IMAP4 (Internet Message Access Protocol v4)です。 IMAP4 では、メイルは全てサーバー上 で管理されます。スプールに落ちたメイルをユーザーのディレクトリに移動させる こともサーバーの機能です。また、IMAP4 では、クライアントとの間の転送量を 最小限に抑えるために、ヘッダーのみの転送や検索などの機能も備えています。

IMAP4 サーバには、Unix 上で利用出来るフリーのものでは CMU の Cyrus IMAP4 と Washington University の UW IMAP4 があります。CMU のものは、スプールの形式 などが従来と違うために ucb-mail などとの互換性がありません(その代りに、 独自のデータベースを備えるなどパフォーマンスがでるようになっているようです)。 一方、UW IMAP4 は、従来通りの mbox 形式を採用するなど、互換性を重視しており、 導入してもまったく問題はないでしょう。更に、UW IMAP4 のキットには、IMAP4 との 互換性を考慮した POP も含まれているので、UW IMAP4 を導入すれば、POP, IMAP4 の両方に一度に対応することが出来ます。 ちなみに、Solaris で提供されている IMAP4 サーバは UW IMAP4 をベースにしている ようです。

これに対して、IMAP4 対応のクライアントも徐々に登場しつつあります。特に、 Netscape Messanger が IMAP4 に対応したことにより(まだバグがありますが)、 様々なプラットフォーム上で同じユーザーインターフェースを利用出来るように なりました(日本語に対応しています)。また、シェアウェアでは、オレンジソフト の WinBiff が IMAP4 に対応しています。海外では、Java application で書かれた IMAP4 クライアントなども登場しつつあります。



 

Noriyo Kanayama